ロードワークの重要性

僕がプロボクシングの世界でそれなりの結果を残せた理由の一つに、毎朝欠かさず続けたロードワークがあります。もしロードワークをしていなかったら、たまに勝てる程度の選手で終わっていたかもしれません。朝起きてすぐに走る習慣は、プロボクサーとしての土台を築くために欠かせない時間でした。早朝のバイトをしていた頃は、毎朝4時に起き、寝る時間を削ってでも走り続けました。試合翌日でもダメージがなければ普通に走りに行っていました。それが「プロボクサーたるものの当たり前」と思っていたからです。

振り返れば、高校1年生で独学でボクシングを始めた当初は、眠かったり寒かったりして「今日はやりたくないな」と思う日もありました。それでも「プロボクサーになるんだったらやらなきゃ!」と自分を奮い立たせ、少しずつ習慣にしていきました。やがて、朝起きたら自然と走ることが当たり前になっていました。

この正月に実家のある岐阜県飛騨市に帰省したときのことです。子供たちが雪山を作り、その上からソリで滑る遊びをしていました。「もっと楽しませてやりたい」と思った僕は、発射台をさらに高くしようと考えました。しかし、高くするには土台が足りないことに気づき、「まずは土台をしっかり大きくしよう」と雪をかき集めました。この作業をしながら、ロードワークと同じだなと思いました。

高みを目指すためには、まず基礎となる土台をしっかり築き上げる必要があります。僕が毎朝走り続けたのも、この「土台作り」の一環だったのかもしれません。プロボクシングの世界で結果を残すには、基礎が必要不可欠です。ロードワークは地味で目立たないものですが、それが積み重なってこそ結果に繋がる。僕にとってのロードワークは、まさにそんな「土台作り」の時間でした。

目に見える、華やかなテクニックに心を奪われがちですが、それ以上に大切なのは目に見えない、土台となる部分、つまりロードワークなのかもしれません。