暴力ではなく、ボクシングというスポーツ
僕はテニスの松岡修造さんのような、情熱的で鼓舞するような指導はできない。声を荒げることもない。
ああいう熱い指導が、必ずしもすべての人に合うとは限らないと思っている。もちろん、ああいう指導で勝てる率が高くなるケースもある。例えば、手数や力、根性でねじ伏せるような戦い方。小学生や駆け出しの4回戦ボーイなら、それで勝てるかもしれない。
でも、それが僕には合わない。僕は、冷静に適格で正確にパンチを放つ、精度の高い丁寧なボクシングを教えたい。プロボクサーを目指すのであれば、それが当然だと考えている。
負ける練習も大切。転んでもまた立ち上がればいい
たとえ今はそれが通用しなくて負けるかもしれない。それでも、長く続けていれば、それが活きる時が必ず来ると信じている。今は負けるかもしれないが、それは経験。特に子供の頃は、「負ける練習」が重要だと思っている。柔道で言えば受け身のようなもの。転んでもまた立ち上がればいい。人目を気にする必要はない。

技術を磨くことは、一見遠回りに見えるかもしれない。しかし、最終的にはそれが選手としての寿命を延ばし、より高いレベルで戦い続ける力となる。だからこそ、僕は焦らず、じっくりと選手を育てていきたい。
ボクシングはスポーツ。美しい芸術
ボクシングはスポーツ、喧嘩や暴力ではない。杉田ジムは勝てないジムかもしれない。でも僕は、スポーツとしてのボクシング、美しい芸術の一つとしてのボクシングを、信念を持って貫きたいと思っている。