体重計の上で競ってどうする?
多くのボクサーが、一階級でも軽い階級で試合に臨もうと思っている。どれだけでも階級を下げれば有利になると思っているからだ。でも僕は、それは違うと思う。
確かに、減量して階級を下げれば、リーチやパワーの面で相手より優位に立てる可能性はある。だが、それは本当に「強くなる」こととイコールなのだろうか?
僕は、減量で有利にするのではなく、技術や体力をつけて相手より有利に立つべきだと考えている。技術が磨かれ、体力がつけば、どんな相手とでも渡り合える。減量して階級を下げることに頼るのではなく、自分自身を強くすることが本当のボクシングの醍醐味ではないか。
仮に減量で有利に立ったとしても、技術や体力が伴っていなければ勝つことはできない。試合では、減量して得たわずかなアドバンテージよりも、技術やフィジカルの総合力が物を言う。減量だけで勝てるほど、ボクシングは甘くない。
さらに、無理な減量は逆に不利になる。極端な減量をすると、筋力の低下やスタミナ不足を招き、試合中に本来のパフォーマンスを発揮できなくなる。水抜きを繰り返せば、試合当日にコンディションが戻らず、動けなくなることも珍しくない。減量のしすぎで、試合中にスタミナ切れを起こす選手を何度も見てきた。
体重を落として有利に立とうなんて、考えが浅はかではないか?試合はリングの上での戦いであり、体重計の上での戦いではない。ボクシングの本質を見失い、減量にばかり気を取られていては、本当の強さは身につかない。
〝減量したもん勝ち〟なんてことはありえない。
結局、減量で有利に立つという考えは、その場しのぎでしかない。付け焼き刃の戦略に頼るのではなく、長期的に強くなることを目指すべきだ。しっかりと練習し、技術を磨き、体力をつけた選手こそが、本当の意味で「強い」ボクサーなのだから。
