動画の力で、自分と向き合う

「最高のトレーナーは自分自身」

「最高のトレーナーは自分自身」。これは、現役時代に感じていたことの一つである。自分のことを最も理解しているのは、他の誰でもなく自分自身。だからこそ、自分の動きを客観的に見つめ、理想と現実のギャップを埋めていくことが、練習の本質であると強く感じている。

多くのボクシングジムに鏡が設置されているのは、そのギャップに気づき、修正するためである。鏡越しにシャドーボクシングを確認することで、身体の使い方やフォームのズレに気づくことができる。ただし、鏡で確認できるのは主にシャドーの場面に限られてしまう。かつて自分が現役だった頃は、ビデオカメラを持ち込み、スパーリングを中心に撮影してもらった。しかし今は、スマートフォンの動画撮影機能が大きく進化し、誰でも簡単に、そして手軽に自分の動きを記録できる。実に便利な時代となった。

杉田ジムでもこれまで、選手や会員のスパーリングやマスボクシングの映像を撮影してきた。だが、今後はそれに加え、シャドー、サンドバッグ、パンチングボールといった基礎練習の様子も積極的に撮影していきたいと考えている。

なぜか。それは「自分を客観視する力」が、選手を大きく成長させると確信しているからである。動画には、以下のような大きな意味と目的がある。


▶ ギャップを知り、修正する

自分の頭の中のイメージと、実際の動きの差に気づくこと。それが練習の第一歩である。動画は、その差を「見える化」してくれる。

▶ 成長の記録を残す

過去の自分と今の自分を見比べることで、成長を実感できる。目に見える変化は、大きな自信につながる。

▶ 他人目線を手に入れる

第三者の視点で自分を見ることで、観客や相手の視線に立つクセが身につく。これは試合において大きな武器となる。

▶ トレーナーのアドバイスがより具体的に理解できる

言葉だけでは伝わりづらい技術や感覚も、動画で見れば「なるほど、こういうことか」と腑に落ちやすくなる。視覚での理解は、技術習得の大きな助けとなる。


杉田ジムでは、スマートフォンのカメラ機能を最大限に活用し、選手一人ひとりが「最高のトレーナー」として自分自身と向き合える環境をつくっていく。
すべては、「自立」と「自分で自分を育てる力」を養うために。
そのためのツールとして、動画をもっと自由に、もっと愉しく、活用していきたい。